脳卒中リハビリセンター

小金井のリハビリ施設

営業時間
9:00~18:00
※日・祝日を除く   
アクセス
〒184-0004
東京都 小金井市 本町4-1-1 小金井ハイツ105
JR武蔵小金井駅 徒歩8分 駐車場:2台有
042-316-7956

脳卒中の方が生活を送るうえで大切な7つのポイント

2024/7/15 更新

こんにちは!脳卒中リハビリセンターMOMOKAの沖野です。
今回は、『脳卒中の方が生活を送るうえで大切な6つのポイント』です。
私が理学療法士として8年間脳卒中の方のリハビリに携わってきて、脳卒中で身体が不自由な方が日常の生活を送るうえで大切だと思うことを、独断でまとめてみたいと思います。

脳梗塞・脳出血の再発を予防すること

脳卒中の再発率について調査した研究では、脳卒中を初めて発症した方が10年以内に再発する確率は26%という結果が報告されています。(※1)
つまり、4人に1人は10年以内に脳卒中を再発されていることになります。人が一生のうちに脳卒中を発症する確率が25%と言われていますので、より短い期間で再発するリスクが高いと言えます。
脳卒中の再発を予防するうえで大切なのは、①食生活、②運動習慣、③ストレス(メンタル)管理、④定期的な病院受診(服薬管理)などが挙げられます。

①の食生活では食べるものに注意をすることが大切です。
具体的には、加工された油(トランス脂肪酸)を含む食べ物精製された砂糖を多く含む食べ物(甘いお菓子や果糖ぶどう糖液糖が含まれるジュースなど)、お酒タバコなどが挙げられます。

特にトランス脂肪酸はあらゆる食べ物に含まれているので注意が必要です。パンの製造に使われるマーガリン、揚げ物やスナック菓子に使われるサラダ油、チョコレートなどのお菓子に含まれる植物油脂など....挙げたらキリが無いほど使用されています。
では逆にどのようなものを摂取していけば良いのでしょうか?
こちらについては、以前のコラムにもまとめてありますので、ぜひご覧になってみて下さい。
リンク:『脳卒中の回復に役立つ15の食材』

②〜④については、文章量が多くなるので、また別のコラムに書かせて頂きます。
 

転倒しないような環境つくり

在宅で生活する脳卒中患者の転倒発生率は40〜60%と報告(※2)されています。これは非常に高い数字です。
転倒してしまうと、動くことに対する自信を無くしてしまうだけでなく、股関節(大腿骨)の骨折や腰の圧迫骨折を受傷するリスクがあり、『脳卒中の後遺症でリハビリを頑張ってやっと退院できたのに、骨折でまた入院....。』ということになりかねません。

そのため、自宅退院後の生活環境を整える必要があります。
特に転倒が起こりやすい場所は、次の通りです。

  • 玄関マットやトイレマット、絨毯などの敷物の縁
  • 玄関の上がり框
  • 部屋の入口にあるわずかな敷居
  • トイレ
  • 浴室
  • 階段

在宅生活を長く続けていくためにも、上記のような場所に特に注意して、手すりを設置したりリハビリで動作の練習を繰り返し行うことで、転倒を未然に防いでいくことが重要です。

誤嚥性肺炎の予防

脳卒中の後遺症は麻痺だけではありません。言語障害(しゃべりにくさ)や口腔・嚥下障害(咀嚼・飲み込みにくさ)の問題も併発することがあります。
一見、ムセなく、うまく飲み込めているように見えても、食べ物が食道を通らず、肺の方に通ってしまうこと(不顕性誤嚥)がありますので、注意が必要です。特に、脳卒中を発症すると咳嗽反射(咳き込む反応)が減弱することがあるため、不顕性誤嚥のリスクが高まります。
そして、誤嚥を繰り返す中で肺炎を発症し病院へ入院する....といった方が多く見られます。
誤嚥性肺炎を予防するうえで大切なことは以下の通りです。

  • 食事を摂る際のシーティング、ポジショニング(姿勢)
  • 食事形態:食べ物の大きさや柔らかさ、トロミの加減など。
  • 口腔衛生の管理:食後の歯磨きやクリーニング。
  • 嚥下機能向上のためのリハビリ

また、少しでも誤嚥の疑い(食後の発熱や咳、痰の絡まり)がある時点で、病院を受診するようにしましょう。病院を選ぶ上で大切なのは、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)に対応している病院を選ぶ事です。
VEやVFは嚥下機能を客観的に検査することができるので、嚥下機能をより正確に評価する事が出来ます。
食は人生の楽しみでもあります。より長い期間、食べる楽しみを失わないように、誤嚥性肺炎を予防していくことが重要です。

ご家族や支援者と被介助者の相互理解・良好な関係構築

個人的に1番大切だと感じているポイントです。
自宅退院後の生活をより楽しく豊かなものにできるかは、ご家族や支援者の方と被介助者(患者)が良好な人間関係を築けるかにかかっていると言っても過言ではありません。
​後遺症が軽く、発症前の生活と変わらないレベルで自立した生活を送られる方もいますが、多くの方は、在宅での生活に何らかの支障をきたし、ご家族や支援者(医師、ケアマネージャー、ヘルパー、訪問看護師)の支援が必要となります。
良好な人間関係の築き方について書き始めると長くなるので、本内容では省略しますが、被介助者(患者)視点では支援者に対して感謝の気持ちを忘れないこと、ご家族や支援者の方は被介助者の心情や後遺症の症状、本人の考え(主張)などを理解しようとする姿勢が大切なのではないかと思います。

麻痺側上下肢の管理

麻痺側の腕や足の管理が不十分だと、筋肉が固くなることを助長し、関節の拘縮(関節が固くなること)や運動機能(歩行や立ち上がり、ものを掴むなど)の障害をきたす恐れがあります。
「病院入院中はリハビリを頑張っていて、歩行や立ち上がり動作が改善したけれど、退院後、動作が行いづらくなった・行えなくなった」といったケースは非常に多く見られます。
また、姿勢が崩れた状態で悪い動作パターンを繰り返していると、転倒のリスクも高まり、最悪の場合、骨折や外傷を負う可能性もあります。

麻痺側管理のポイントは以下の通りです。

  • ベッド上に寝ている時や椅子に座っているときの姿勢に気をつける:クッションなどを用い、支持(支える)面を多く作って、筋緊張が高まらないような環境設定を作る。
  • 筋肉の柔軟性(≒伸張性)を保ち、関節の動く範囲を維持する:ストレッチやマッサージなどの自主トレーニングの習慣化。
  • 理学療法士や作業療法士などリハビリ専門職にセラピーを依頼する:保険内サービス(訪問リハビリ・外来リハビリ・デイケア)や自費のリハビリサービスなどがあります。

 

生活活動範囲の維持・拡大(趣味活動の再開)

一言で言うと、身体の機能が改善した先にどのような目標を達成したいか、です。

①身体機能の改善⇒②動作の改善③日常生活の充実化

動作改善の先に、その方の生活も改善していかなければ意味がありません。

『孫を両手で抱っこしたい。』
『歩きを安定させて、ゴルフの趣味を再開させたい。』
『山登りに行きたい。』
『長年続けてきたピアノのコンサートにもう一度歩いて出演したい。』
『近所のスーパーまで買い物に行けるようになりたい。』
『ロードバイクで玉川サイクリングロードまでサイクリングに行きたい。』

上記の目標は、いずれも、当施設をご利用されている方の目標です。
実際に目標を達成された方もいらっしゃいますし、目標達成に向けてリハビリを継続されていらっしゃる方もいます。

『やりたいことはあるけれど、麻痺があるから諦めている....。』
から
『麻痺があっても、やりたいこと・夢が叶えられる。』へ

夢や目標を持つと生活が生き生きしています。
ぜひこのコラムを読んでいただいた方には、そのように夢や目標を諦めずに叶えて頂きたらと思います。

いかがだったでしょうか?
今回は、リハビリ視点から見た良い姿勢とはどのようなものか、について纏めてみました。
専門的な内容で少し分かりにくい文章となってしまいましたが、少しでも参考になれば幸いです。

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