7/11更新

こんにちは！脳卒中リハビリセンターMOMOKAの沖野です．

今回は，『脳卒中リハビリテーションにおける栄養補給の重要性~タンパク質編~』です！
参考文献:National Library of Medicine「Nutritional Supplementation in Stroke Rehabilitation: A Narrative Review」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9833461/

上記報告によると，

• タンパク質の補給が脳卒中回復にプラスの効果をもたらしたと報告.
• 42人の脳卒中患者を対象としたタンパク質補給のRCT(ランダム化比較試験)では,21日間タンパク質補給を受けた患者は,自然食を摂取した患者と比較して国立衛生研究所の脳卒中スケールの改善を示した.
• Aquilaniらによる別の研究では,毎日の高タンパク質の栄養補給により,亜急性脳卒中患者の認知機能が改善
• ラバディらは,58人の脳卒中患者を対象に,高エネルギー・高タンパク質のサプリメントによる集中的な栄養補給の効果を研究.高エネルギー・高タンパク質の補給は,日常的な栄養補給と比較して,運動機能と歩行において良好な結果を示したが，入院期間,体重,認知機能には改善が見られなかった．

また，最近の研究はタンパク質の補給を超えて,脳卒中回復におけるアミノ酸の補給を積極的に研究しています.

• アクイラニらは,38 人の嚥下障害性亜急性脳卒中患者に対し必須アミノ酸 8 g/日または等カロリーのプラセボを投与するよう無作為に割り付けて研究.必須アミノ酸の補給を受けなかった患者は,脳卒中後76日を経ても筋肉量の減少が続いたが,必須アミノ酸の補給を受けた患者は影響を受けずに筋タンパク質の過剰分解を示さなかった.
• 吉村らは,ロイシンを豊富に含むアミノ酸サプリメントを摂取した介入群は,対照群(非摂取群)よりも機能的自立度,握力,骨格筋量において有意な改善を示したと報告.

注意点：脳卒中リハビリテーションの機能改善に対するアミノ酸補給の効果を調査した RCT (ランダム化比較試験)はまだない．

結論
タンパク質とアミノ酸の補給を伴う栄養介入は,脳卒中後の回復と機能改善に役立つことが期待されている.
しかし,この可能性を示す証拠はまだ不十分のため証拠に基づいた結論を導くためには大規模な RCT が必要.

タンパク質を十分に摂取しながら効果的なリハビリを行うことで，運動機能や歩行能力の改善により効果的な影響を及ぼす事が述べられています．また，タンパク質を構成するアミノ酸を摂取することで，筋肉の過剰分解を防いだり，筋肉量を増やす効果があるようです．

最近では，ドラッグストアやスーパーなどでも，プロテインやアミノ酸ドリンク(BCAAやEAAなど)を見かける機会が増え，より手頃に購入する事ができるようになりました．
今取り組んでいるリハビリの効果を更に高めたい方は，ぜひ参考にしてみてください！

沖野